2015年 05月 25日
コマンドマガジン第123号の紹介、の前に
2015年 05月 15日
九〇式魚雷 in
それはさておき。IBS IIIの製作も大詰めを迎えておりまして、ルールブックもだいたい完成しました。デザイナーズ・ノートにも少し書かれていますが、IBSからレーティングが見直されており、例えばアトランタ級は水上戦用の火器管制がやや劣っていたので砲撃力↓、逆に米6インチ砲は発射頻度が高いので砲撃力↑となっています(ついでに言えば、アトランタ級の謎砲塔レイアウトも正されています)。
IJNでは、「吹雪型は、“ロング・ランス”を搭載していたものの、魚雷の次発装填装置がなかったので再装填禁止ね」とありました。再装填禁止→わかる、ロング・ランス→???
IBSの日本軍は24インチ(61センチ)魚雷は八式と九三式の2種類がありますが、間の九〇式がオミットされていました。「大戦中の魚雷は全部酸素魚雷!」という大胆な割り切りかなあと思っておりましたが、デザイナーズ・ノートでそこに言及するとなれば、今からチャートや艦船データを作り直すとしても←
訂正していただかねばなりますまい。
ということで、「魚雷特性表」には九〇式魚雷が追加され、吹雪型と初春型に搭載されることとなりました。
不思議なもので、Wikipdeiaの日本語版には九〇式魚雷の項目がありませんが、英語版にはあるんですね。
61 cm Type 90 torpedo
しかも妙に詳しい。
と、ここまで書いておいて何ですが、九〇式魚雷のデータ追加、『タクテクス』誌の読者投稿欄で見たような見なかったような。
ここからはまさにチラシの裏なんですが、あ、もともと全部チラ裏みたいなもんなんですが、アフリカツイン復活の報を耳にして、一気に生きる希望が湧いてきました。正直DCTモデルはいらん。
2015年 05月 14日
重力ダイス

願いは正確に6分の1の確率でしか叶えられません('A`)
このグラヴィティ・ダイス、もともとはKICKSTARTER発だったんですね。

いいお値段ですが、世界最速のダイスに比べたら10分の1だから!
2015年 05月 13日
『タイガー・リーダー』オーダー直後、車検代6桁請求されて無事死亡

DVGから5月20日発売予定の『タイガー・リーダー』、プレオーダーしてみました。リーダー・シリーズ初となる地上戦、ソリテア戦車戦ゲームです。お値段71.99USD。
タイトルは「タイガー」となっていますが、プレイヤーはカンプグルッペを率いてポーランドから末期の西部戦線/東部戦線まで戦場を駆け抜けます。まさに「おひとりさま戦闘団」。戦車の性能がどうこうというのでなく、諸兵科をどう運用するかが生き残る鍵になりそうです。


DiF関連の支払いでダンさんに連絡したところ、「『タイガー・リーダー』の注文ありがとうよ。で、次は何の日本版を出すんだい?」と返信をいただきました。しっかり捕捉されとる。

AFVやソフトスキンはともかく、イラストの一部が残念系なので、そこだけアレンジするとかして『タイガー・リーダー』もありかもしりませんね。いやいや、『フリート・コマンダー:ニミッツ』が先や。
あと、カラー化問題ですが(詳しくは公式に任せるとして)、いきおい『バトルズ・マガジン』を真似するような誌面となります。特にゲーム関連では、作戦研究にしてもレビューにしても、わかりやすい&魅力を伝えるには大判の図版がないと! というわけでして。あと、ユニットの写真を並べるのは誌面のアクセントになるのと割り付け時の行数調整に便利すぎる。
それにしても『バトルズ・マガジン』はバックナンバーは一部完全フリーの電子化かー!! すごいな、カープ。どうやったんだ?
2015年 05月 12日
『ダウン・イン・フレイムズ日本語版』と餃子の話(またか)
閑人工房...ダウン・イン・フレイムズ日本語版 : GGG 2015/05/10
エキスパンション全部ぶっ込みの高額商品もありか? という気もしなかったわけではありませんが、入り口のハードルは低くと、基本セットのみの販売となりました。個人的にもエキスパンションは欲しいので、たくさん売れてくれればなあ、と思っています。買ってください! お願いします!!(切実)

切実な理由は在庫の山でして、いつもは国内で印刷&鹿児島の秘密基地にストックしておけるんですが、今回は中国で製造したために編集部内に保管する必要があります。既に一角が『風立ちぬ』のクライマックスのごとく密集した戦闘機で埋め尽くされており、来月も再来月もこのままだと担当者が笑いながら飛び去っていく戦闘機を追いかけ、「空戦ゲームは美しも呪われた夢だ。大空は皆呑み込んでしまう」とつぶやきながらお花畑の向こうに姿を消してしまうでしょう。まあ、私のことなんですけどね。
『ダウン・イン・フレイムズ』と言えば餃子です。最後は餃子の写真で締めなければなりますまい。ニラとキャベツマシマシのぷりっぷりな野郎です。

2015年 05月 11日
『アイアンボトムサウンドIII』と深刻な高齢化問題(え?)
ということで本日のエントリはIBS III製作中にあった出来事から発展してのあれやこれや。

■ヴァリアント問題
@yasN2010 ハッと思い出したのですが、権利関係がクリアになるなら、TACTICS誌に掲載されたミニゲーム「サボイバル!」を収録して欲しいなぁ、と思いました! よろしくお願いします。
— Keisuke Matsuhara (@keisuke_m) 2015, 5月 8
同じ思いの方も多いでしょう。何度となく味方潜水艦による救出を待ちつつ、サボ島でトカゲをかじっていた私もそうです。が、このヴァリアント、権利関係が不明のためにさすがに勝手に発表することができません。デザインされた方が判明しても、T誌に発表した際の契約条件がアレだったりするとナニなので(時期的にはセーフのゆうな気もするんですが)。
ヴァリアントの発表は、わかっていてできないケースと知らずにできなかったケースとがあります。わかっていてできたケースとしては、7月出版予定の『ディエップ強襲:ジュビリー作戦』で、Consimのフォーラムで発表された空挺効果ヴァリアントを発案者及びデザイナー両氏の了承を得て、収録可能になりました。インターネットって便利ですね(デジタルデバイド)。
知らずにできなかったのが『1815』のシナリオで、詳しくは以下リンク先を参照してください。
1815:The Waterloo Campaign(GDW)のこと(AGWボードゲーム研究室)
Moves誌掲載記事ならどうにかなるので、次号123号にて6月18日(3日目)シナリオを発表したいと思います。
■高齢化問題
シミュレイションゲームの仕事をするようになった当初、「アメリカの流行が10年遅れて日本にやってきた」なんてことを言われまして、誰に言われたのか定かではありませんから、恐らく皆、そういう認識だったのでしょう。もちろん今は、輸入総元締めが選んだアイテムしかプレイできないという時代ではありませんから、ユーザーが自分の興味のある作品に自由にアクセスでき、リアルタイムで新しい楽しみを味わうことができます。
が、高齢化問題は確実に10年後にやってくるよなあ、と思わせる事案発生。
IBS III、少数ながら英語圏でも販売したいという助平根性がありまして、英語版のチャートとルールブックが同梱されます。ユニットと損害記録シートはバイリンガルなので問題なし。で、チャートをつくってジャック・グリーン氏に校正をお願いしたところ、「字が小さすぎて読めねえや(意訳)」。えええ! サイズだけで言えば、HJ版より少し大きいくらいなのに。確かに最初のやり取りで、アメリカのゲーマーは高齢化が進んでいるから文字サイズを大きく、とは言われていました。自分も危険水域に達しているので、いつもより気持ち大きめのサイズでレイアウトしていたのですがそれでも小さい、と! うーん。
これがどう影響するかと言えば、1枚で済むチャートが2枚になったり、24頁で済むルールブックが32頁になったりと、コスト高につながるわけです。コスト高は商品価格に跳ね返ってきて、若者のウォーゲーム離れがますます進みます(適当なこと書きました、すみません)。
『シミュレイター』編集時代には「8ポイント(=約12級=3mm)より小さな文字は使うな。老眼ゲーマーが増えているんだから」と指導を受けまして、『コマンドマガジン』でも今はだいたい12級(計算しやすいしね)です。IBS IIIの日本語ルールブックも12級を使っていますが、英語版ルールブックは16級です。確かに読みやすいんだけれど。
■多言語版製作の難しさ
これ、思ったより大変です。長くなるのでこれはまた別の機会に。
2015年 05月 10日
ゲームマーケットご来店ありがとうございました & 身も蓋もない話

今回、a-gameのメインの売り物は『ダウン・イン・フレイムス日本語版(DiF)』と『ウォーゲーム・ハンドブック2015(WGHB)』。後者についてはカタログに付録ゲームのタイトルが書かれていなかったことからも、いろいろお察しです。ですが。

GMに限った話じゃありませんが、展示会には(1)同業他社の同窓会的な集い、(2)ブランドや商品のプロモーション、(3)消費者への直販などの目的がありまして、a-gameの場合は(2)を期待しつつ(3)の現金商売がありがたいところでしょうか。生臭くてすみません。
(2)が難しいのは、「わかっていない人」にボード・シミュレイションゲームの魅力を伝えるのは展示即売会が最適の場ではないからです。ああ、「わかっていない」と書きましたが、わかっているからエラいとかそういう意味ではないので念のため。書くまでもないことですが、歴史的背景と軍事的なあれこれをある程度わかっていれば、ゲームのことを説明するだけで済むでしょう。それでもルールが何をするのか、そのルールがどう機能するかを説明するには相応の時間がかかります。で、面白さが伝えられるまでプレイするのにまた時間がかかるわけです。
GMの開場が10時、買う気まんまんの方が目当てのものをスナイプして一段落する、あるいは買い物目当てでなく、何か遊べるものを探す目的の方が入場してくるのが昼過ぎだとすると、正味、試遊卓を回せる時間って4時間くらいですか。

ハーフサイズのミニゲームでも2卓全て使って4組。1組1時間かかるとしてフル回転で4☓4=16人がプレイできる計算になります。実際は、それ以上の時間がかかるかもしれないし、常連の方に遊んでいただく必要もあるし、そもそも試遊卓に4人もスタッフを常駐させるわけにもいかないので、机上の空論に過ぎません。総力戦で未経験者に10人も体験してもらえれば御の字です。そのうち何人が興味を以ってくれるか。
そういう事情もあって、今回のGMでは個人的にDiF推しでいきました。これだと、インスト込みで20分間で1回転できます。WGHBだと未経験者同士の対戦はいろいろ厳しいですが、DiFなら無問題。となると、WGHBだと1人 / 1時間しか回せませんが、DiFなら6人 / 1時間回すことも可能なわけです。最初はどちらでもインストするつもりでしたが、すぐにDiF専属で回すことにしました。そりゃそうだ。圧倒的に効率が良い。多少ルールを端折ってプレイしましたが、DiFの面白さは伝わったと思います。歴史や軍事に興味がなくても、零戦が何となく強かったという知識はあるので、すんなりプレイに臨めます。
ただ、WGHBもこれまでの反省を踏まえて、とりあえず最初の2ターンが20分くらいで終わり(プロイセン軍が出てこないから)、砲撃と突撃の明確な違いで戦闘を演出し(目標に砲撃マーカーを置き、砲撃結果はマーカーを裏返して判定)、プレイヤーに決断を促す(毎ターン、アクティベートできるのはフランス軍2個軍団、イギリス軍1個軍団 = プロイセン軍来援後は連合軍全体で3個軍団)ことで面白さを出す工夫はしました。が、それでもDiFの本能に訴えかけるダイレクトな、わかりやすい面白さには及びませんね。とは言え、さらにアブストラクトなものにすると、どの層からも相手にされない恐れがあります。
まあ、アークライトがワーテルロー200周年の今年、「生まれ変わった」シミュレーションゲームの形であるはずのこのゲームを再版しなかったことからも、ボード・シミュレーションゲームを扱うことの勝利条件をビジネスに設定する難しさがうかがえます。