いやほんとに。建物の影から影へと走り抜け、駅まで達するとそこで居眠りこいていたドイツ兵を追い払い、イタリア社会共和国(RSI)軍を四方八方から追い立てていく。そんなパルチザンの姿が盤上に現れたところで、わたしはすっかり満足してしまったのです(RSIを受け持っていて負けました)。
ゲームはこちら。Para Bellumの新作。パルチザンによるグラヴェッローナ・トーチェ解放をテーマにした戦いです。写真中央がRSIで周りを取り囲んでいるのがパルチザン。RSIが追い込まれるだけの一方的な戦いかと思われましたが、弾薬が潤沢で士気が高いうちにもっと積極的な防御を行うべきだったと反省しております……と、対戦後にあれこれ考えられるのは良作の証拠。
本作もそうですが、デザイナーが現出させようとした「場面」が盤上に現れた瞬間というのはたいへん興奮するものです。このへん、Michael Rinella先生もうまい。1945年のコレヒドール戦をテーマにした『Return to the Rock』(Revolution Games, 2020)はこれもんですよ。
エリア=インパルス・システムのゲームですが昼夜それぞれインパルスが用意されており、昼間は支援射撃が豊富なアメリカ軍が、夜は斬り込みを行える日本軍が戦場を支配できるようになっています。
「日本軍プレイヤーは連続インパルスを利用し、秘匿ボックスから目標に隣接したエリアにユニットを集結。次で突撃という時にインパルス継続に失敗すると、直後に移行したアメリカ軍インパルスで、それらはいきなり猛烈な砲爆撃を見舞われることになる。
昼は日本軍にとって極めて危険なのだ」
チャンスと思って昼間に突撃した日本軍が砲爆撃でたいへんな目に遭う……情景が目に浮かぶではないですか。そこから日本軍(プレイヤー)は戦い方を学んでアメリカ軍プレイヤーの心胆を寒からしめるようになるわけです。本作ではそれが効き過ぎのようで、鹿内氏の記事では楽しみ方の工夫が提案されています。
「一応、包囲戦だからいいだろ? 『コレヒドール』書くからな」ということでBANZAIまがじんに掲載された本稿、『Return to the Rock』を楽しもうという方は必読ですぞ。
by yas_nakg
| 2020-07-01 08:27
| 新作ゲームのこと