戦闘結果表に関して「コマンドマガジン」第153号に堀場氏が語っておられました。個人的に戦闘結果表(CRT)は、必要ならつくればいいし、ないならないでも構わないと思っておりますが、非常に便利な道具だと考えております。『耳川の戦い』の対戦を見てさらにそう実感しました(さばげ隊長とリターン・ゲーマーである中村氏との5時間に及ぶ熱戦を観戦していたのです)。
堀場氏は「何の疑問もなく使ってきたCRTという『装置』も、本来は戦闘処理を迅速に解決して結果を提示するためだったはず」と述べられていますが、それに加えてプレイヤーの行動を律してゲームの流れをつくる装置としても機能すると思います。現在制作中の『ワルシャワ1920』も、ポーランド軍の反撃を誘導するため「実は低オッズでも攻撃したほうが得」な戦闘結果表でしたが、むしろロシア軍の総花的攻撃が有効になりすぎておかしな展開になるという問題が指摘されました。そこで攻撃の成功率はそのままで攻撃側がユニットを失う「AL」という結果を追加したところ、ロシア軍の戦い方ががらりと変化。ほとんど別ゲームとなってしまい、テストプレイヤーの皆さんの仕事を増やしてしまいました。申し訳ございません。
これほど、戦闘結果表は便利であり、同時にゲーム全体の評価に関わってくる「恐い」ものなのであります。
さて耳川。隊長が大友軍を、中村氏が島津軍を受け持ちます。隊長はテストプレイを行った経験者ですが中村氏はこれが初めて。しかし日本史に詳しく、耳川の戦いについても十分な知識をお持ちです。それが災いして、大友軍の戦闘力を侮って序盤から激しく戦います。
これまでの経験から、「1:2の攻撃はもっての外、最低でも1:1か2:1、確実を期して3:1以上で攻撃しよう」としますが、単純戦闘力比で島津軍が高オッズで大友軍ユニットを攻撃するのは困難です。
中村氏が戦闘結果表のしかけに気づいたのは中盤が過ぎてから。
このゲーム、退却後の戦闘後前進は任意ですが、やるなら全力で退却した相手を追いかけなければなりません。加えて大友軍は強制的に追撃しなければならない結果がある。そして戦闘後前進は攻撃側も防御側も行えます。また1:2の攻撃でも攻撃側がステップを失うことはなく、悪くても退却するだけです。そしてその中には大友軍の強制追撃も含まれる……「そうか! 釣ればええんや!! これが釣り野伏せや!!」
島津軍は正面から戦うのではなく、大友軍を釣り出して、包囲して攻撃、あるいは河川越しに退却させてステップ・ロスを強要する。今回の対戦は島津軍の敗北に終わりましたが中村氏、戦闘結果表の読み方を学んで、次に生かしたいとのことでした。今週の土曜日に早速再戦されるとのことで(私は観戦できませんが)報告を待ちたいと思います。
この他にもこの戦闘結果表にはしかけがあり、デザイナーの意図が感じられます。これはぜひ、対戦の中で皆さんに感じ取っていただきたい、またそれを生かして有利に戦ってもらいたいものです。
(問い: 作者はどのような思いでこの戦闘結果表をつくったのが、100文字以内でまとめなさい。その際、必ず「釣り野伏せ」「乱戦」「混乱」を用いること。(10点))
余談ですが、翌日は人気の『やまとは恋のまほろば』の聖地へ。車だと面倒そうな場所なので、バイクを出せと主計総監に言われて行ってきました。160メートルの前方後円墳で、手頃なサイズ感が素敵でした。
by yas_nakg
| 2020-06-22 10:11
| 日記的な