それっぽいタイトルですが、以下はRevolution Games(以下RG)版『ミッドウェイ海戦』に関する話題です。
オリジナルの発売が昨年のゲームマーケット大阪。それがJack Greene氏の手元に渡ったのが2019年の4月。ライセンスの打診を受けたのがその頃で、それからあちらでテストプレイしてデベロップして、今年の1月に発売にこぎ着けたのだから仕事早いですよね。
商品ページにオリジナルとの違いをあげていますが、細かいところでは他にもいくつか。
- 着艦が夜間にずれ込んだ際、オリジナルでは失敗の確率を日本軍と米軍とで分けていたのですが、RG版では同じになっています。薄暮攻撃は米軍にとってよりリスキーだったという判断で差をつけたのですが、そんなことないやろということでしょうか。
- 「処分中止」カード、オリジナルでは両軍が使用可能でしたが、RG版は米軍専用カードになっています。〈飛龍〉の曳航が可能だったかもしれないので日本軍も使用可能としましたが、日本人は山口多聞に対してセンチメンタル過ぎると判断されたのかもしれません。よう知らんけど。
- 一航艦は一航戦と二航戦、米艦隊はTF16とTF17で構成されており、オリジナル版では攻撃側が任意で戦隊/TFを目標にできましたが、RG版では日本軍は1/2の確率で、米軍は1/6の確率で狙ったのとは別の戦隊/TFを攻撃することになります。現場の指揮官ではどうしようもない情報収集・処理能力の差をシンプルに表現しているように感じました。
- イベント・カードが5枚追加されて計13枚となっています。追加された5枚のうち4枚は日本軍に有利なもので、米軍にとって不運な内容。護衛戦闘機が仕事しなかったり、攻撃隊が目標を見つけられなかったり、着艦に失敗したり。米軍の技量不足は固定値ではなく乱数として扱われているわけです。
イベント・カードが増えたことで(初期の手札も日本軍3枚、米軍2枚と増えています)不確実性が高まっているのが一番の違いと言えます。とは言うものの、手札になったら不確実なものが確実なものになってしまうので、それを計算に入れて作戦を立てられることに抵抗があります。ミッドウェイ海戦は作戦レベルで負けたという思いが強いだけに。影響の大きなイベント・カードを追加できるのは、勝利した側の余裕かもしれません。
RG版で追加された5枚のカード(日本語ルール用に用意したものです)
Javier Romero氏に教えていただきましたが、本作、スペインのウォーゲーム・ブログで紹介をいただきました。様々なミッドウェイ海戦ゲームが紹介されている中、『Kido Butai』や『Victory at Midway』が取り上げられているのが嬉しい。前者については『BANZAIまがじん』でデザイナーにインタビューしています。PDF版はこちら。後者はBen Knight氏らしい無駄をそぎ落とした美しいデザイン。カットすべきところをカットして原石が持つ魅力を引き出す、さながら宝石職人のような仕事ぶりです。
by yas_nakg
| 2020-03-18 09:40
| ほぼ日