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『格闘級!航空母艦の戦い』の可能性

と、その前に。


あのさあ……。

ゲームマーケット大阪にて、ジブセイルゲームズさんの新作『格闘級!航空母艦の戦い』を見せていただく機会に恵まれました。

『格闘級!航空母艦の戦い』の可能性_b0142122_08431780.jpg
タイトルからわかるように、戦術戦闘重視の空母戦ゲームとなっております。『ミッドウェイ!』(64年)の昔から、索敵ボードで敵を発見したら、戦闘ボードで戦闘を解決するお作法が生まれましたが、本作はその戦闘ボードにおいて両プレイヤーの戦術の腕を競わせることに重きが置かれています。STRブランド第2弾での発売を予定していた大平英樹氏の『CV』もそんな感じで、「慣れると簡単に空母に魚雷を当てられるようになる」と、ベテラン搭乗員のような口ぶりで解説されたのを記憶しています。プレイヤーの戦術戦闘能力が作戦級ゲームの戦果に直結するのは、『バトル・オブ・ブリテン』(85年)も同じ。

『格闘級!航空母艦の戦い』の可能性_b0142122_08512494.jpg
だとすると、索敵ボードを廃してしまって(シムカンの)『IJN』(78年)みたいな戦術戦闘に特化したゲームでいいんじゃない? と思ってしまったのですが、これに対してデザイナーの長浜氏は明確な意見を持たれていました。即ち、本作は「格闘級」と言うよりは「シネマ級」である、と。戦争映画では、戦略的な視点、作戦的な視点、戦術的な視点という具合にシーンが切り替わって、それぞれの立場で見えてくる情景が異なります。このゲームでもそれと同じことをやりたい、というわけです。なるほど。

ゲームとしては、それぞれの視点で性質の異なる葛藤があり、決断を下さなければならない。そして求められるテクニックも異なるということで、非常に贅沢なものに仕上がりそうです(プレイ時間が気になりましたが、今のところ4-6時間だそうで、それなら十分許容範囲でしょう)。

『格闘級!航空母艦の戦い』の可能性_b0142122_09405436.jpg
そうなると「演出」として各艦の状態は詳細に表現する必要があり、例えば多くのゲームが耐久力を「船体」ひとつでまとめているのに対し、このゲームでは右舷と左舷に分け、片舷からの集中攻撃が有効になっています。傾斜を抑えるために損害を受けたのと反対側にやむを得ず注水する、という状況も描かれるわけですね。また、爆撃による装甲貫徹も判定されるので、爆撃では戦艦の主砲は破壊できないといったこれまでのゲームでは表現できなかった要素まで表されています。

様々な視点を映画のようにひとつのゲームに盛り込み、それぞれ丁寧に描くのは相当たいへんかと思いますが、それだけに『格闘級!航空母艦の戦い』、完成が非常に楽しみであります。





2019年3月27日の話題:
ウォーゲームだもの
ヘクス・イン・ゲームズの店長日記


by yas_nakg | 2019-03-27 10:27 | ほぼ日

歴史系ストラテジー・ゲームの話が中心です。


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