日米開戦とプロスペクト理論

 先日紹介したあの本に、日米開戦の不合理な決断について書かれていました。秋丸機関の報告書は世紀の大発見でも何でもなく、英米との国力差は歴然、戦争すれば負けるよね、ということは誰でも知っていた。ではなぜ開戦してしまったのか、という説明にプロスペクト理論が使われています。

a. 100%の確率で30,000円を失う。
b. 80%の確率で40,000円を失うが、20%の確率で1円も失わない。

 aかbどちらかを選ばなければならないとすると、どちらが合理的な選択になるか? 期待値で言えばaは-30,000円、bは-32,000円なのでaを選ぶのが合理的な選択ですが、統計を取るとbを選ぶ人が圧倒的に多い。損失を回避する傾向にあるのだそうです。座して死ぬくらいなら(a)、もっとひどいことになるかもしれないけれど(ドイツがソ連に電撃的な勝利を収めて潜水艦戦で大勝利、英米の船腹が予想以上に増えないためにアメリカがイギリスを十分に支援できないためにイギリスが戦争から脱落する、くらいのウルトラCに)一発勝負を賭けてしまった(b)というわけです。( )内の見せ方でbを選ぶ人の数は変化するでしょう。

 ( )内の作文次第で不合理な決断を誘導できるでしょうし、シミュレーション・ゲームづくりにおいてはプレイヤーを特定のベクトルへ誘導できるでしょう。

 プロスペクト理論は『大東亜共栄圏』でも用いていまして、もちろん何もしなければ日本は負けるようになっているので、どこかで開戦しなければならない。また先に宣戦布告しなければ奇襲の効果を失うので、不合理な選択であってもさらに損失忌避の気持ちが働くはず。などというデザイン・コンセプトの話を『このシミュゲがすごい!』に書きましたのでよろしくお願いします。『Pacific Go』『太平洋の土下座』のデザイナーズ・ノートと併せてお読みいただければと思います。



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by yas_nakg | 2018-06-06 10:04 | 国産ゲーム【た行】 | Comments(0)