全国1000万人の「タイ・ボンバ」フレンズの皆さん、こんにちは。1938年にはチェコの侵攻(Case Green)、39年はドイツ軍がポーランドに攻め込むと同時に連合軍が西部戦線に侵攻し(The Hinge of Fate)、40年にはフランスではなく東部戦線にドイツ軍が侵攻する(1940: What If?)という、ぼんくらB級ゲーム・ファン(鹿内さん命名。ほめています)の心を鷲掴みにする一連オルタナティブ・ヒストリーを発表しているタイ・ボンバさんですが、いよいよ時代は遡って1936年のWhat If? が登場しました。

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▲すげえ色したマップだろ? でもプレイしているうちに気にならなくなるんだぜ。

ラインラント進駐許すまじ
ご存じの通り1936年にドイツ軍はラインラントに進駐し、フランスはこれに対抗しませんでした。その理由は財政上の不安、及び米英政府と両国の金融業界から支援を受けられなかったためですが、このゲームでは(1)お金の問題は何とかした、または(2)ナチを放っておいたら共和国の存亡に関わるからとにかく何とかする、ということで、フランスは断固として対抗することを決意します。そこからは風が吹いて桶屋がトランプ・タワーを建てるような怒濤の展開が待っています。

フランス軍が前進してきたら後退するよう命じられていたので、ドイツ軍は戦わずしてラインラントから撤退。この弱腰を見たドイツ陸軍の幹部を中心にクーデターが発生、ヒトラーとその取り巻きは殺害されるか投獄されるか、どこかに身を隠します。収監されていた左寄りの方々が解放されて政治の檜舞台に立ち、ドイツはナショナリスツとレッズに分断されて内戦状態に突入します。

もう一国社会主義論なんてやめやめ、今こそ世界社会主義革命の好機だよねと、スターリンは赤色ドイツを助けるために西への侵攻を命じます。しかしポーランドはたまったもんじゃありません。ルート上に横たわるチェコスロバキアもしかり。この両国はナショナリスト・ドイツと手を携えて赤い津波に対抗することになります。

自国の決断がヨーロッパに未曾有の混乱をもたらしたことにおののきつつも、フランスは「ちょっくらベルリンの新政府と話をつけてくるべ」と、ラインラント軍集団に東進を命じます。なお当時、ヨーロッパで最も有力な陸軍はフランス軍だったそうで、ゲームでも向かうところ敵なしです。

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▲フランス軍は矢印に沿って移動します(北ルートか南ルート)。運悪くドイツ軍ユニットがいたら抹殺されます。

最初にベルリンに到達するのはソ連軍かフランス軍か? ドイツの内戦はいかなる形で幕を下ろすのか? 「どうせドイツ軍とフランス軍がラインラントでぶつかるだけの仮想戦でしょ?」という大方の予想を裏切る、大きな歴史のうねりが感じられる壮大な設定なのです。やりたくなったでしょ? 俺はやりたい。

内戦システムは『Red Dragon Falling』
タイ・ボンバさんと言えば「わびさび」を理解したゲーム・デザイン。本作でも遺憾なく発揮されています。

まずドイツ軍。片面はナショナリスト、もう片面はレッドで色分けされており、ゲーム開始時に引いたプレイヤーの面を向けます。一度決めた面は固定でキチジローのようにころころ転ぶことはありません。弱き者は戦場には不要なのです。この方法で内戦が始まった時点でどの軍団、装甲師団(I号戦車を装備した師団が3個あります)、実験突撃砲旅団(歩兵支援用に練成されたものが1個あります)がどちらの陣営につくかがランダムに決まります。また都市も同様の方法で陣営が決まります。ベルリンとドイツ空軍だけは例外で、これは自動的にナショナリストのもの。内戦につきものの混乱をシンプルなシステムで描き出します。

同じようにコマンド・コントロールやロジスティクスの混乱を再現するため、移動力はダイスを振って決めます。戦闘力は固定(守備隊は変動)。組織としては安定しているソ連軍とフランス軍ですが、前者はポーランド国境地帯での戦闘後に登場するので兵站上の制約があり、後者は政治的な足枷があるため同じようにランダムの移動力を決めます。作戦レベルでの混乱をシンプルなシステムで描き出しているわけです。

お気づきの方もいるかと思いますが、ユニットの両面を陣営で分け、ランダムに引いて決められたヘクスに配置するのは来るべき中国内戦をシミュレートした『Red Dragon Falling』と同じです。プレイするたびに様相が変化するので、定石ができない楽しさがあります。ランダムにランダムを重ねてどうする? というフレンズがいるかもしれませんが、実際の戦争は一発勝負。与えられた状況に真剣に取り組んで自分でオルタナティブな歴史を切り開く楽しみを、タイ・ボンバさんはいつだって提供してくれるのです。

やだ何これ意外に面白い
ちょっとやってみたのですが、これが意外に面白い。ナショナリスツ vs レッズの戦いは、まあ、頑張ってくださいというしかないのですが、西からはフランス軍が、東からはソ連軍がやってくるので、ただの乱戦にはなりません。例えば、西ではフランス軍が通った後はぺんぺん草一本残らないため、そのルートを越えて南北に移動することはできません。ということは、フランス軍が来る前にある程度の戦力を西部戦線の南部または北部に確保しておかないと、後からその方面に兵力を送り込むことができません──その方面の得点源である都市を、敵に与えてしまうことになりかねないのです。

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▲こんな感じ。フランス軍ルートの北はレッズが制圧することになるでしょう。

東部戦線はポーランド軍 vs ソ連軍の戦いが行われますが、ナショナリスツはポーランド軍を助けるために戦うことも可能。CRTは流動型でオーバーランや二次移動がないため、部隊さえいれば赤い津波を防ぐことができます。が、戦線を広げればナショナリスツも手が足らなくなります。それを可能にする側面がチェコスロバキアで、ここは得点こそ低い(プラハしかない)ものの、ナショナリストどもの南側面を襲うことができ、移動力次第で側面からベルリンを衝くことだって可能です。あるいはベルリンを衝くと見せかけて、守りの薄くなったそれ以外の都市を平らげることだって。

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▲国境線の戦いに敗れたポーランド軍がマップ東端から現れる。この直後、赤い本流が押し寄せます。

作戦的な選択肢だけではなく、部隊運用でもゲーム上の綾が感じられます。例えば3個しかない装甲師団。ランダムでどちらにつくかはわかりませんが、3個全てが自陣営に来てくれたなら、装甲師団にだけ認められるスタックをして軍団として使ってしまいましょう。前述の通り流動型のCRTですが、装甲軍団の火力は絶大です。1936年で早くも戦車の集中運用の有効性を世に示すチャンスですよ?

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▲3個しかない装甲師団ですが、スタックすると超強力。この時は歩兵軍団の支援にしか使うチャンスがありませんでした。

勝敗は基本的に勝利得点(VP)で判定され、ゲーム開始時に支配している都市につきVPを獲得し、ゲーム中に支配都市を喪失するとVPを失い、新規で支配するとVPを獲得します。またゲーム終了時に支配している都市からVPを得ます。例外はソ連軍がベルリンに突入した場合で、この時はレッズのサドンデス勝利になります。フランス軍が先にベルリンに進入したら単にゲームが終了するだけで、VPが多いほうが勝利(勝利した陣営を新政府として交渉が始まるわけです)。

両軍ともユニットが少ない西部戦線は動きが少ないので、焦点は世界革命を成就すべき西へ向かうソ連軍 vs ナショナリスト連合ということになるでしょうか。熱い。

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▲ポーランド軍を追いかけるソ連軍。機械化軍団は強力だけど都市攻撃に向かないので、独力でベルリンを狙うのは困難。

これまでのオルタナティブ・ヒストリー・ゲームは微妙な仮想戦史を読んでいるような内容でしたが、『1936: What If?』は設定が滾る、システムが滾る、展開が滾ると、チャック・ノリスの映画を観るような高揚感に浸れます。とにかく滾りたい人は俺と和泉で握手だ。

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by yas_nakg | 2017-02-14 23:30 | 海外ゲーム【1-9】 | Comments(2)

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by yas_nakg | 2016-02-01 09:18 | 海外ゲーム【1-9】 | Comments(0)