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上海と台湾と上海の話

台湾に来るのはいいんですが、確実に3kgは太りますね。食べ物が美味しいのはいいんですが、困ったものです。来週は超節制生活が待っています。

もともとこのタイミングで仕事で台湾へ行く予定がありまして、いつもなら土曜日に帰国してしまうのですが、「もし7月25日にウォーゲーム・ミーティングがあるなら『上海』のテストプレイさせてよね」と『戰棋』のWayne編集長に尋ねたところ、「やるよ」との返事をいただきまして、そういう次第であります。

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上海戦と言えば、最近デシジョン・ゲームズからも発売されましたが、こちらは当事国がつくった作品。当然、アプローチも異なります。もう一つの当事国でも誰かつくりませんかね。

マップのサイズはA1判ですが、左下6分の1ほどが上海周辺の拡大マップになっており、最初の6ターンは基本的にここだけでプレイします。戦火が広がるにつれて拡大マップを飛び出して、南京から杭州までをカバーする本マップへ移動します。移動すると、日本軍は少ないユニットで中国軍の大群に立ち向かうこととなり、一気に絶望感が漂いますが、「やってしもうたもんは仕方ねえ」とばかり、アグレッシブに深みにはまり込んでいく過程が、妙にヒストリカルな感じがします。

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ルールは意外に細かいです。両軍に航空、海上ユニットがあり、戦略マップ上で支援を行うヘクスに配置します。このヘクスはマップ上の複数のヘクスに相当しています。日本軍なら上陸したいヘクスに海上ユニットを置き、制海権を取らなければ上陸できません。両軍が同一ヘクスに航空、海上ユニットを置いていれば空戦、海戦が発生します。空母は海戦でも空戦でも戦える優れもの。

また両軍は補給ポイントを使ってユニットの補充や戦略移動を行います。輸送手段にはいくつか種類があり、日本軍の場合は輸送船(上陸に必要)、列車、トラック、ボート(小型の突撃上陸艇)があります。ボートは湖を渡ったり、橋がないと渡河できない大河を渡るのに使えます。そのどちらもが中国軍の意表を突くのに役立ちます。

デシジョン・ゲームズの『上海1937』は、増援がどのタイミングで登場するかが不確定で、それをどこに登場させるかで自分でゲームをつくっていきますが、こちらのほうがその傾向が強いです。つまり自由度が高くて面白い。増援の登場時期は固定ですが、日本軍の場合は登場場所 = 上陸場所は自由に選択でき、しかし前述の通り制海権を取らねばならないなどの準備が必要です。なお、中国軍の海上ユニットが除去されると揚子江に残骸が流れ込み、日本軍は事前にそれを排除しないと上陸できないという芸の細かさ。

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5時間ほどプレイして3分の2くらい終了したでしょうか。キャンペーンの勝敗は得点で判定され、上海や南京といった重要都市はできるだけ早く占領すれば日本軍により多くの得点が入るようになっています。

上海占領後は、日本軍は南京方面と杭州方面の2つの戦線ができ、リソースをどのように配分するかが悩ましい。また南北の道路が開通していると、両軍とも兵力の移動が容易になるため、いかにそれをカットするか / 確保するかが重要になります。そこで湖沼移動が大きな意味を持つわけです。

今回のプレイでは日本人が日本軍を、台湾人が国府軍を受け持つという和やかなマッチングになりまして、日本軍が早めに上海を占領できたため、史実より早く南京を占領できればそれで勝利できる状況が整いました。それで杭州方面を無視、全力で南京を襲うことに。もっともこういうあからさまなプレイをすると、中国軍も対処が容易になるので南京も守りやすいのかもしれません。駆け引きと、必然的に複数できる戦線の管理が楽しいゲームです。

本作が付録になった『戰棋』は9月発売予定とのことです。ルールは台湾語だけですが、田村さんが何とかしてくれるはずです。超他力本願ですが、台湾でも「タムラサン」は「翻訳」という意味で使われております(割と本当に)。




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ゲームの後は、食事しながらの感想戦やら雑談やら。今回はタイ料理。台湾のタイ料理は外したことがないんすよね。フィリピンのスペイン料理も外さないですが。

『戰棋』の実売数はホニャララなので、台湾にいるウォーゲーマーの数は0.5ホニャララだ、という話。最初、何を言っているのかわからなったのですが、つまり戦史は好きだけれどゲームには興味がないという人も購入しているということで、ああなるほど、そういう考えもあるんですね。

台湾では40代50代のウォーゲーマーはむしろ少なくて、もっと若い。数は少ないけれども若い人が入ってきている。一人は『艦これ』大好きで、同じく『艦これ』が大好きな友人と『太平洋戦史』をプレイするという、ねとらぼ的サクセス・ストーリーを語ってくれました。

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11月にはガルパンの映画を観るために来日されるそうで、既に前売り券も購入済み。ノンナ & カチューシャ好き、『ノー・リトリート!』を愛するナイス・ガイでした。

もう一人も最近ウォーゲームを始めたという若い方で、最初の作品は『トワイライト・ストラグル』。戦国時代のゲームに興味があり、GMTの『関ヶ原』も大好きということでした。台湾だけではなく、中国本土にも日本の戦国時代が好きという人が結構いるそうで(余談ですが、現在台湾で秀吉の朝鮮出兵のカード・ドリブンのゲームを開発中とのことです)。




再び上海。先日、上海で数千人規模のボードゲーム・イベントが開催され、そこではウォーゲームもプレイされました(拙作『ワーテルローの戦い』もプレイしてもらったようで)。さすがにウォーゲーマーは全体の中のごく一部でしかありませんが、何しろパイが違いますからね。

上海、北京、香港合わせると2ホニャララくらいのウォーゲーマーがいるそうで、話半分にしたって結構な数ですし、何よりはっきり言えるのは、絶対数では些細な数かもしれませんが市場が大きくなっているのは中国なので、これからウォーゲームを商売にしようと考えている人は中国市場を狙ってみてはどうですかね。戦国ものも人気があるらしいですし。



by yas_nakg | 2015-07-25 23:31

歴史系ストラテジー・ゲームの話が中心です。


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